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ネトゲ廃人をテーマに据えて ~RPG~


非常に一般的な用語のため検索に埋もれがちな映画、それが「RPG」です。
一般的過ぎるタイトルといえば「GAMER」もそうですな。これらはそういうタイトルの映画であるという前置きが必要なので、友人に紹介するときに苦労します。
その点、非日常的なタイトル(スターウォーズなど)は「ああ、アレね!」と意志疎通がよくて羨ましいです。ほかにも大作であったり、俺達と同年代にはあまり知られていない固有名詞(両方満たしているのがスーパー8。そういう名前の秘密兵器か宇宙人かと思った)などはわかりやすくてよいですね。それに比べてこの「RPG」のわかりづらさ! 一般名詞すぎてあまりにも内容が見えない気がします。原題は「The Wild Hunt」で、確かにちょっと馴染みは薄いかもしれません。

日本ではRPGといえばテレビゲームという印象が大半なので、いっそのこと「ロールプレイング」としたらわかりやすいのではないでしょうか。そういう映画ですし。

さて、この映画はネトゲ廃人をテーマにした映画です。といってもいわゆるネトゲ廃人がそのまんま出てくるわけではない点に注意。ネトゲ的遊びにはまっている、というくらいの意味でどうぞ。

あらすじ
主人公エリックは父親を介護しながら働いている。同居している恋人はその介護生活にストレスを感じており、週末になると男達と山奥に遊びに行くようになった。エリックの兄が誘ったその場所では、各地から集まったファンタジー好きの面々による「なりきりゲーム」が行われていた。そこでは人々は中世の衣服に身をまとい、手には武器と盾を持ち、それぞれ身分や称号を持つ。二分された勢力はどちらも相手を滅ぼすために、戦いを繰り広げていた。
父親の介護、という点で引け目を感じていたエリックは彼女を自由にさせていたが、コミュニティの一人が自宅を訪れた際の言動にとうとう我慢の限界が訪れた。最愛の人を連れ戻すため、車にのって会場を目指すのだった。

「本格的なコスプレカーニバルにはまってしまった彼女を現実世界に連れ戻す一般人の兄ちゃん」が主眼におかれた物語です。
カナダ(かどうかはわかりませんが、カナダ映画なので多分)の山奥で毎週末繰り広げられる大規模なイベント。各地のオタク達が思い余って作り上げてしまった一大コミュニティ内はまさにファンタジー世界。建造物から装飾品まで中世を意識したものとなっており、王女を頂点とした国家組織と、蛮族達の二つの勢力にわかれています。彼等はそれぞれ自分のキャラクターを持っており、会場内ではロープレに勤しんでおります。
もちろん「ごっこ遊び」であるため、武器は持っていますがゴム製です。万が一にも怪我人が出ないよう、スタッフによって厳重に管理されています。戦いも互いに殺し会うという名目で、実際は先に五回叩かれると死亡扱い。死亡した人はしばらく大人しくリスポンを待つ、というように、ルール付けされた世界で微笑ましく遊んでいるのが実際のところです。

本質はコスプレなので、集まっている人達もそれなりにオタクな人達のようです。ある密命(笑)を受けて現実世界のエリック宅に現れた兵士に対し、彼は「負け犬だな」と嫌味を言いますが、兵士は堂々と「幸せな負け組だよ」と胸を張る。ビッグサイトに並んでてもおかしくない感じですね。

あらすじの通り、エリックは恋人のエヴリンを連れ戻すためにそのコミュニティを訪れるのですが、そこで繰り広げられていたのは到底信じがたい光景でした。現実世界を想起させる服装や小物は一切NG。受付の人間もがファンタジー世界の登場人物になりきってまったく話が通じない。会場に飛び込んでみれば、いるわいるわのコスプレイヤー達。
もちろんエリックは遊びに来たわけではないのでロールプレイングなど無視して恋人の居場所を尋ねて回りますが、住人は「演技をしろ」の一点張りで聞く耳持たず。驚くやら呆れるやらのエリックの前に、エヴリンを誘った張本人である兄が現れます。
「嬉しいぞ、我が弟!」

ダメだこいつ。
イイトシしたエリックの兄は重度の廃人で、この会場内では「バイキングの戦士」を名乗り、伝説の鎚を獲物に蛮族にさらわれた姫を助けだそうと息巻いていました。
口から飛び出すのは「我こそはバイキングの勇者!」「戦士の誓いを!」といった中二的な台詞ばかりで、要介護の父親をほっぽりだして出ていったことにまったく罪悪感を感じていない。すでにブチギレのエリックは兄に詰めよりエヴリンの居場所を聞き出そうとしますが、その口から発せられたのは驚愕の真実(設定)。

エヴリンは彼等の姫で、今は蛮族達に森の深くに囚われていたのだ!

気が気でないエリックは慌ててその蛮族のもとを訪れます。いわゆるGM的な役割を持つ「調停者」(といってもあまり権限はない)の姉ちゃんの力添えで蛮族の首領に合ったエリックは、やはり話の通じない蛮族の説得を諦めて、直接エヴリンを説得しようとします。しかし帰ってくるのはつれない言葉ばかり。「身分を弁えろ1」「演技をしろ!」と針のむしろ状態で逃げ帰ってきたエリックに、兄は悪魔の囁きをします。

「ルールに乗っ取って奪い変えせばいいじゃないか。力になるぞ」

かくしてエリックは、小数の仲間とともに蛮族共に夜襲をかけ、エヴリンを助けだそうと決意するのでした。

この映画の見所はいくつかあり、その内の一つは間違いなく「映画中でキャラクターの演技をする役者陣」です。劇中劇という設定なので、彼等はもともとは普通に暮らす人々で、ファンタジー世界のキャラクターを演じています。その演技が大仰で芝居がかっており、思わず見ている方が恥ずかしくなるような稚拙っぷりで終始ニヤニヤしっぱなしです。とくに主人公の兄は一際光っています。中二ぷりを是非堪能あれ。
また、プレイヤー達はしばしば素に戻り、ゲームのルールについて口論します「俺が先に五回叩いただろ!」「これは体が見えなくなる呪文だ! 見えないんだぞ!」
この戻りっぷりも非常に楽しく、会場内の小道具やそれまでの雰囲気が結構それっぽいこととのギャップが笑いの要因になっています。オープニングは必見ですな。

主人公であるエリックはそういったオタク的趣味とは無縁で、会場を訪れた理由が理由だけに演技などする気もありません。これがこの映画の核心になっているといってもよく、せっかく同じ趣味の人間達で楽しくやっているところに「なんだおまえら馬鹿なことやってんなよ」と土足でズカズカ入り込んでくる人間は非常に不快なわけで、いきおい態度は冷たくなりがちです。とくにエヴリンは役柄的にも、これから始まるシナリオの要なので、そこに恋人をなのる馬の骨が現れてピーピーわめくのだからたまったものじゃない。

逆にエリックにして見れば、今の生活が崩壊しかねない瀬戸際に、彼女と話をするためにやってきたはずが「姫を敬え」「コスプレしろ!」「ルールを守れ」とオタク集団から要求されるのがイライラするわけです。確かにごっこ遊びではあるが、恋人のエヴリンは見知らぬオタク共と鍵もついていないところで夜を明かすわけで、いつ間違いが起きてもおかしくない。いや、すでに起きてしまっている可能性だってあるのです。そんなところに足しげく通う恋人も恋人ですが、とにかくここから連れ戻して理性的に話をしたい。

という両サイドの不和を如実に感じ取れ、どちらにも感情移入できるという一挙両得な映画です。どちらの立場を応援するかは見る人次第ですが、これが最後に悲劇を生み出す要因になるので是非ドチラかを応援して欲しいですね。


以下は物語の核心です。

ある程度事前に予想がつくと思いますが、この映画も最終的にはごっこの域を出て暴走が始まります。ルールに乗っ取って遊んでいたのが、実際に殺し合いに発展してしまうんですね。この元凶が主人公の行動にあるわけです。原題でもある「The Wild Hunt」はゲーム内のイベントの一つで、囚えた姫をイケニエに捧げ、復活した姫を先頭にもう一方の陣営に最終決戦を挑む、というものです。そのために姫は蛮族達といるわけですが、訪れたエリックの行動にカチンときたのか、それとももともとそういう予定だったのかしりませんが、彼等は極端な行動に出ます。
姫をイケニエに捧げるときのドッキリ。エヴリンのまわりで始まる怪しげな儀式。蛮族の首領が持つ鋭利なナイフ。あまりに真にせまった異様な雰囲気に、昼間のこともあるエヴリンは命の危険を感じます。マジで殺す気だコイツ! 恥ずかしながら見ている俺もカチコチに緊張してしまっており、ここから始まるデストロイの予感をびしびしと感じていました。

そしてまたここが、このRPGという映画のおもしろいところなんですが、演技をするプレイヤー達はギリギリのところまで理性的です。狂気にかられて暴動がおきるわけではないんですね。げんにこの儀式もひっこむナイフを使われており、あまりの恐怖にモノホンの悲鳴をあげてしまったエヴリンを囲んで笑う蛮族達。ワルノリが過ぎますが、彼等は滅多なことでは一線をこえません。

そこに現れたのが、姫を取り戻しに来たバイキングの戦士たちです。禁則である夜襲に戸惑った蛮族達は、もうつきあってられんわ勝手にしろ!と逃げ出したエヴリンを追い掛けますが、一足先にエリックが連れ去ってしまう。せっかくイケニエの儀式までして用意万端だったはずがぶち壊しです。このコミュニティの誰もが楽しみにしていた「The Wild Hunt」は是非とも成功させねばならない。そんなわけで、蛮族達は人間の世界に現れて、エヴリンを説得しようとします。

「今夜一晩だけでいいから、協力してくれ。イベントが終わるまででいいから」

といわれても、あんな趣味の悪いイジメにあったエヴリンは戻るつもりなど毛頭なく、恋人を連れ戻して図に乗っているエリックと一緒になって首領をメタクソにけなしてしまいます。
とりつく島のない首領は、このコミュニティを数時間で壊滅せしめたエリックを睨みつけ、去っていきます。

さて森から蛮族達が現れて、ちょっと早いがいよいよ最終決戦かと意気込んでいた人間やエルフ達は、なにもせずに去っていく蛮族達を見て慌てます。数週間前から懸命に盛り上げてきたイベントが不発に終わる。しかも突然現れた外部の人間が原因となれば冷めること氷のごとし。あっという間に気分を削がれてしまった参加者達は、エリック一味をさんざんに罵って帰り支度を始める。

そのころ、森の中では、蛮族達による決意が行われていた。

この決意の部分は物語りのキーポイントになる部分で、彼等が「狂気に陥ると自ら選択した」のが非常に印象的です。そのほかの映画が知らず知らずに異常事態へ発展して行くのに比べ、RPGはこの一点から急転直下です。彼等は自分の身分証や財布などを火にくべて、現実世界からの決別をあらわにします。このときの光景がローテンションで、どちらかといえば物寂しげに描かれているのが印象的です。

ここから予測不可能のエンディングへと一直線ですが、まさかエリックが死んでしまうとは思いませんでした。すごく予想外。このあたり、視聴者もエヴリンに愛想を尽かしている時分だと思いますが、それでもエリックとエヴリンが死ぬのは衝撃的でした。 そして生き残るのも意外な人達で、人選が特徴的なのもおもしろい点ですね。
最終的にコミュニティは潰れ、多くの登場人物の生死もわからないまま、兄がエリックのかわりに父親を介護するシーンが映し出されます。もちろん、けじめはつける。伝説の鎚とともに。


主人公の主目的がヒロインな映画にはありがちですが、このヒロインも大概ウザいのが難点といえば難点です。ぶっちゃけた話、ストーリー後半では「もうそれはいいから、エリックは代わりにいいひとを見つけなよ」と同情したくなる有様で、蛮族達に恐怖を味わわされて逃げて来たくせに、そこから救い出してくれたエリックもやっぱり不満というワガママさは始末におえない。そのエリックの命がつきたあと、何をしたかといえば蛮族の首領の前で自殺ですから、いったいエリックをどのように思っていたのかさっぱりです。完全にエヴリンに振り回されてしまったエリックがかわいそうでかわいそうで、そのためこの映画の後味は非常に悪いものになっています。

全体的にローテンションな演出だったり、もうちょっとこの突飛な設定をいかせたのではないか、という惜しい映画ですが、おそらくこれをサイコスリラーとして見ることが多分間違っているのではないかと思います。宣伝の賜物ですな(この辺はスーパー8にも言える)かといって青春モノや愛憎劇として見るのもちょっと違い、あえて結論づけるなら「ドラマ」という非常にあやふやでおおざっぱなカテゴライズになってしまうのがもにょもにょする。

たんなる「ゲームと現実の区別がつかなくなった!」という映画ではないんだ、ということをネタバレせずに伝えるにはどうすればいいんでしょうねえ。

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