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しんのすけ少年が本気で惚れた女の子 ~嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ~



 誰ってつばきのことなんですけどね。
 作中でいろんな人に惚れるしんのすけですけど、
 別れたときに動けなくなるほど落ち込んだのはつばきひとりだけ。
 そういう意味でカスカベボーイズはちょっと特別な映画だと思ってます。エンディングクレジットにもしんのすけとつばきしか出ないしね。踊るふたりのなんと幸せそうなこと。
 戦国大合戦以降ぱっとしないと言われてるけど、カスカベボーイズは名作ですよ。

 詳しく書きます。
「ストックキャラクター(典型的キャラカテゴリとでもいいますか)」を用いてカスカベボーイズのラストについて説明しようと思います。
 ストックキャラクターの詳しい説明は、おそらくwikipediaを読むのが一番わかりやすいと思われます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC
 今現在使われている『属性』とはまたちょっと違うニュアンスですね。
 どちらかと言えば『役割』とか『立場』みたいなものです。

 まず大長編でのしんのすけの役割を考えてみると、見事なまでに「コピーテントマン(万能人。ジェームズ・ボンドやルパン三世のような)」であることがわかります。また「女たらし(五歳でなければヒロインとやりたいほうだい)」「愚者(一見なにも考えていないようなそぶりを見せているが、突然重要なことを喋る)」やそれとは対極に位置するはずの「ジョークスター(グループ内で常に上機嫌、楽天的で事態の深刻さに対応できる」すら演じています。たまに冗談交じりに「しんのすけはもの凄い天才なんだよ」と言われたりしますが、実際、彼のカリスマ性や行動能力、思考能力は(デフォルメされた世界だとしても)並大抵のモノではありません。しんのすけは完全無欠のヒーローとして春日部に君臨しています。
 その活躍ぶりはどの映画を見てもわかると思いますが、一番大事なのは「立ち上がるのは彼が最初」である、という点です。例えば踊れアミーゴで一番最初に異変に気づくのは風間君ですが、彼は立ち上がることができずに負けてしまいます。オトナ帝国でもジャングルでも彼が最初に行動を起こし、みんなを引き連れて出発し、引き連れて帰るのです。
 しんのすけには一見なんの弱みもないように見えます。彼の仲間や家族はたびたび敵につけ込まれますが、しんのすけはそう言うことはありません。ヘンダーランドなどではひとりで戦う場面もあります。彼は、とくに映画の中ではみんなを正しい道へ連れ戻す役割をキャラ付けの段階で定められています。

 長々と書きましたが、ここからがカスカベボーイズについて。
 さて、今作でもしんのすけはいかんなく「コピーテント・マン」としての役割を果たすわけですが、その際、他の、特に洋画での主人公と同じくヒロインつばきに恋します。今までの映画にもいわゆる「しんちゃんガール」は出てきたわけですが、しんのすけの態度がそれまでとどこか違う。

 女性に優しいのがモットーのクセして、ボーちゃんに「恋だね」と言われると全力で否定。「冗談言わないでよぉ」という様はいつもと違い、視聴者が何故か気恥ずかしい気分にとらわれます。

 しんのすけは彼女に知事の屋敷から逃げるように言います。「オラが食べさせてあげるのに」否定したにしてはなんという物言い。最初に会ったとき、他のしんちゃんガールに比べて反応が薄かったのが信じられません。

 そして終盤。蒸気機関車の中でつばきと二人きりの場面。
「春日部に戻ったら、オラと結婚を前提におつ、つ、つ……」
 まさか、しんのすけが口説き文句を恥ずかしがって最後まで言えないとは俺も思いませんでした(笑)。女たらしのしんのすけが一番大事な箇所をミスっています! これはいったいなんなんだ! しんのすけにいったいなにが起きた!? 

 ……とまぁ、しんのすけは悪党に捕まったつばきを助ける場面でオイシイ思いをしたりしながら事件を解決するわけですが、問題のシーン。
 カスカベボーイズの最終盤、映画の世界から抜け出た後の行動は、少し不自然な位しんのすけの感情が上下します。

・つばきを探し、いないことがわかるとわめき、あまつさえ映画の中に帰るとまで言い出す→仲間に引きずられて出口まで→何かの音に気づく→シロが現れ、急に立ち直り、何事も無かったかのように帰る。

 とくにシロが現れてからのしんのすけの立ち直りは異常とも言えます。
 これをシナリオの都合と感じるかは個人の自由ですが、オトナ帝国、戦国と良作を発表した直後(つっても二年後)ですから、そういった手抜きは無いと考えて真面目に考察してみます。

 しんのすけがつばきにベタ惚れしていた、それは間違いありません。
 なぜなら作中では「正しいことしか言わない」ボーちゃんがはっきりと明言しているからです。ちなみにボーちゃんの役割は「補佐役(副官か副司令で、常にリーダーが信頼している人物。いつも欠くべからざる人物である)」です。
 しんのすけの仲間の中では一番頭脳明晰で頼りになる存在。ドラえもんでたとえて出来杉君と言えばわかりやすいでしょうか。まぁつまり、
ボーちゃんが言えばそれは絶対なんです。
 それではしんのすけのホレ具合がどれほどだったのか。
 作中でしんのすけはつばきをお嫁さんとして迎えたい旨を何度か発しています。不思議なことに、いつもの安易な口説き文句(もう古いで
すが「納豆にネギ入れるタイプ~?」)などは姿を現しません(はっきりとデータを集めて確認したいですが)。はて、しんのすけのしんのすけ
たる所以が無いとはどういうことか。映画の世界から出た後、しんのすけはなりふり構わずつばきの元に戻ろうとして、それが敵わぬとなると地べたに張り付いて動かなくなります。それほどショックだったのでしょう。
 俺はそれほど惚れていた、という感想を持っていますけど、他の人はどうなんだろう。

 ここで、しんのすけの役割にヒビが入ってしまいました。つまり「コピーテント・マン」でも「ジョークスター」ではなくなってしまった
のです。恋する少年はいつものように胸を張ることもできず、楽観的に物事に対処することができなくなってしまいました。それほどの一
大事がこの時彼の中で起きた。
 モブキャラが映画館を出るまで十分程度あったかもしれません。しんのすけはその間、ずっと倒れっぱなしです。帰る段階になっても動けません。コピーテント・マンから崩れ落ちた彼は失意のどん底で動けなくなってしまいます。

 ……そしてシロを出迎えて立ち直ります。



 なんじゃそりゃ!


 と思った人は多いんじゃないか。俺もです。何事もなかったかのように扉を出て行くしんのすけ。最後に振り返るのは何故か父親のひ
ろし。あの一瞬でしんのすけはつばきを忘れてしまったのでしょうか? んなわけない、ないはずだ! というわけで、本題も本題。

 シロが現れた段階で、しんのすけは日常に戻ります、という。
 今作でのシロはしんのすけと日常を繋げる役割を果たしています。つばきに話したりね。ななこお姉さんのことはつばきに告白した時にはすでに忘れていたりで、どうにも重要な要素ではない。なぜしんのすけが春日部のことを忘れなかったと言えば、シロの存在が大きいと思って間違い
ありません。

 一言で言えば、シロはしんのすけを救ったのです。
 コピーテント・マン、ジョークスターから落ちぶれて、一介の恋する少年になってしまったしんのすけを元の完全無欠に戻すために、わざわざ映画館までやってきたのです。しんのすけの心理的にはどうでしょうか。つばきと別れた後、絶望の淵に沈んでしまった。このままでははい上がれません。
 そこにシロがやってきた。映画の世界でつばきに話したシロがやってきた。「おなかをすかせているゾ」と話したシロがやってきた。シロはしんのすけの家族であり「一番の」親友です。それはケツだけ爆弾を見てもわかるでしょう(俺はあまり好きではありませんが)そんなシロに、まさかこんな姿を見せるわけには……
 いかない。

 んじゃないかなぁ、彼としては。俺はそう思う。
 そういうわけで、しんのすけはシロに弱い姿を見せまいと立ち直ってしまったのでした。コピーテント・マン、復活。
 そして最後に父親たるひろしは、息子を男にしたつばきに礼をして去るのでした。

 以上がカスカベボーイズのラストにおける俺の解釈です。
 コピーテント・マンたるべきしんのすけが、そうでなくなったまま物語を終わるわけにはいきません。子供向けでもないし、クレヨンしん
ちゃんらしくもない。そこで一番の親友たるシロが現れて、彼を元の役割に戻しました。シロが現れたおかげで、しんのすけはしんのすけらしく退場することができたのでした。ハッピーエンドです。クレヨンしんちゃんは悲劇であってはならないのですから、もちろん最後はハッピーエンドに決まっています。今回は危うかったけれど、それを達成することができました。しかし二度も三度も使える手ではありませんから、これからしんのすけが、ヒロインとの別れが必ず来る映画の中で「真剣に惚れる」ことはないと考えていいでしょう。そう言う意味で、この映画はとても特殊で、俺が好きな理由でもあります。おしまい。


 蛇足。
 悲恋でないと書きましたが、この映画はとても悲しい映画です。
 実はこの映画で、しんのすけはゲストキャラクターにきちんとお別れを言えていないのです。しんのすけはまさかつばきが映画の登場人物とは思ってもいなかったので、チャンスを逃してしまっているのです。
 それが最後のシーンのどん底ぶりにも繋がっているのでしょうが、水島監督はその点で残酷です。しかし、これしか手がなかった、といえばそれもあたり前。映画の中でそれが判明してしまえば、シロが来ることのできない場所で暮らすことをしんのすけは選択してしまうでしょうから。
 日常を侵さないために、つばきを春日部に連れてくることはできない。そのためにはしんのすけには悪いけれど、ある種反則気味な方法で無理矢理別れさせるしかなかった。
 しんのすけがゲストキャラクターであれば、そういうことは無かったのです。
 ヒーローである、という制約は、時としてしんのすけに試練を与えるのです。

 エンドクレジットでの二人の世界は、水島監督のせめてもの謝罪じゃないでしょうか。あれで俺はちょっと救われました。

 更に蛇足:つばき
 つばきのこの作品内での役割は当然「ダムゼル・イン・ディストレス(囚われの姫君)」です。一番わかりやすい例を挙げればカリオスト
ロのクラリス。二つの作品の別れ方の違いはそのままルパンとしんのすけの違いになります。
 しんのすけが成長したらルパンになってもおかしくないと俺は思いますよ(笑)

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