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永遠のアイドル ジュリー ~現役、沢田研二~

D
 1970~80年代に、日本一のアイドルとして帝王のごとく君臨したアーティストがいます。
 ザ・タイガースのボーカルをつとめた後にソロデビューした沢田研二。日本中の女性の目を釘付けにして離さず、まさにトップオブアイドルと呼ばれるべき数々の功績を残した「ジュリー」。俺の母もファンでした。
 なにを隠そう、俺は母親に音楽的教育として幼いころより沢田研二を聴かせられ育ったと言っても過言ではありません。実家にいた高校生までは、朝食のためにリビングに降りたらなにかの曲がかかっていると言うのが日常で、テレビは基本、ついていませんでした。朝食が終わるとちょうど連続テレビ小説の時間になるので、父は仕事へ、俺と妹は学校へ、母はテレビへ、というようなサイクルです。ちなみに母も連続テレビ小説が終わったら仕事でした。
 そのときにかかっていた曲で一番頻度が高かったのは「ネコの鳴き声でクリスマスミュージック」という、今ではタイトルもよくわからぬ奇天烈なシロモノですが、確か犬バージョンもあった気がします。父がそういうの大好きで、別にクリスマスシーズンでなくても、寒い季節には決まってこれがかかっていました。飼っていた猫が毎度のごとく首をきょろきょろさせていて「これはもしや虐待ではないか」というような話をしていた気がします。
 閑話休題。その楽曲が一時期ジュリー一色だった時がありまして、そのころはちょうど90年代バンドブームが終わりを告げて、タケノコのように湧いていたバンドたちがフェードアウトしていった時期です。永遠のマイブーム、SURFACEの二人もこのあたりでちょうどチャートから姿を消しておりました。多分。そろそろこのころの記憶も曖昧だなぁ。そして俺はにわかに始まったジャパニーズヒップホップブーム、メロコアブームに見事に便乗しており、いわゆる「歌謡曲」である沢田研二の曲はあまり好意的に捉えていなかった覚えがあります。かといって朝っぱらからみそ汁飲みながらブラフマン聴いたりする気も起きず(親が機嫌悪くするし)流れるに任せていたという次第です。そういうわけで「タイトルはわからずともメロディと歌詞は知っている」という曲が妙に多く、今でも「勝手にしやがれ」なんかはタイトルと実際の楽曲にどうも違和感を覚えたりします。
 実際、沢田研二を毎朝のように聴いていた高校生もそう多くはありませんでしょうが、このころ聴いたいわゆるベスト「ロイヤルストレートフラッシュ」に納められている曲は、今でもソラで歌えるものが多かったり多くなかったり。
 
 おそらくその素養があったからかも知れませんが、大学も三年(だったかな)のころに、親が「ジュリーのコンサートあるから行かない?」と聞かれて「行く」と答えました。しばらく沢田研二の曲を聴いていなかった俺は、確かそのころ五十を過ぎているはずの、かつてのアイドルであるところのオッサンがコンサートをする、と言うのに妙にワクワクした記憶があります。凄くても凄くなくてもネタになるわけで、残念ながらこの時の俺はひねくれの度が過ぎてこんなんでしたので怒らずに続きをどうぞ。
 そのコンサートは多摩センターであり、いわゆる「ライブ」ではなくガチでコンサートです。観客はホールの席に座り、ステージの上でホストの歌う曲を聴く、という形。なにしろ年期の入ったファン層ですから、そうでもしないと二時間は保たないと思われる。事前の予想はほぼあたっており、おそらく観客の最年少は俺でした。妹が熱を出していなかったら妹が最年少だった。

 さて、今でこそある程度詳しくなっておりますが、このころは「懐メロ」で見たくらいの情報量しか持ち合わせておらず、沢田研二は昔は凄かったらしいがどう凄かったのかは全然わからず(ジャニーズのポジション?)今はどうなってるのかはそれ以上にわからず、コンサートが始まる直前になって妙に後悔したのを覚えております。せめてWikipediaなりで調べておけばよかった。母親もファンではあるものの、いわゆる一度卒業したのが再燃しているため、知識には空白期間があります。今の彼がどうなっているのかが詳細にわかりませんし、過去の記憶もかなり危うい。こんなのでノれるのでしょうか、ワタクシ。これがロイヤルストレートフラッシュの楽曲ばかりであれば問題はまったくありませんが……まあ、かつてのアイドルだからそういうのも可能性はなくはない、というところ。もしかしたら、という期待に身を寄せて、主役の登場を待ちます。

 登場したときの感想は述べますまい。特に変わったところのないオッサンでした。むしろ大事なのは登場したあとからで、彼は外見はオッサンでも、振る舞いは十二分にアイドルだったのです。これには度肝を抜かれまして、一度曲が始まればその年齢もなんのその、往年の歌声ほど高くはありませんが深みのきいた艶のある歌声で、ホールに声を響かせたのです!
 還暦間近、五十も後半。親父より年上。にもかかわらずこのエネルギッシュな舞台はなんでしょう! 回りのおばちゃんたちも思わずスタンディングしており、俺もノらなければやばい的な雰囲気にホールは支配されておりました(ちなみにこのときスタンディングしてなかった人数だけ男性がいたと思われます)。途中休憩を挟まず(多分)二時間ずっとこれです。いくら何でもここの空間若すぎる。沢田研二という男を舐めていました。アイドルを舐めておりました。
 それから、かなりひっそり、俺の沢田研二ブームが始まったのです。

 手始めにWikipediaを見る。情報の信憑性はともかく、なにかの入門としてはWikipediaは最適である。沢田研二の項に書かれてある数々の伝説は、あまりに伝説過ぎて眉につばつけて見ていましたが、あのオーラを感じ取った後であればなんとなく信じても良いような気がしてくる。
 代表的なのを挙げると、
「ザ・タイガースは日本で初めての長髪の男性アイドル」「日本で初めてのスタジアムライブ」「日本で初めての全国ツアー」「紅白史上初めて演歌歌手以外で大トリを務めた」「男性ポップス歌手として、初めてのオールヌード写真集」「日本人として初めてフランスのヒットチャートにBEST10入りした楽曲」などなど枚挙に暇がなく、なんだかマイケル・ジャクソンなみの大人物に思えてくる。実際の所、スケールは違えども、そういっても言い過ぎではないのではとも思っておりまして、なにしろ現在でも精力的に楽曲をリリースし毎年新曲をひっさげてコンサートをやっているというから尋常ではない活動ぶりですから、まさに音楽を、アイドルをやるために生まれてきたと言えましょう。
 
 以来、俺のipod(現在はiphone)には沢田研二の曲が鎮座し、SURFACEと共にかなりの頻度でローテーションしております。新しい曲はあまり買ってはいませんが、「俺たち最高」というアルバムはitunesで購入しており、また単独で「未来地図」を買い、これは今も俺のベストオブジュリーです。何が凄いって、今出している曲も、決して古く聞こえない、と言う点で、三拍子の「風に押され僕は」の大陸風な楽曲から、「TO・MO・DA・CHI」のようなコテコテのロック(エセ関西弁)、バラードと非常に幅が広い。声も前述したとおり、往年の高さはさすがにありませんが、音の質はそのままで、安定した深い響きをもつものになっています。特に「未来地図」の完成度は半端ではなく、還暦あたりに発表した曲でなお未来の事を歌うというのもネタとしてグッド。とても60歳が歌ってるとは思えず、若々しさを残したままの理想的な歳の取り方をしており非常に羨ましい。この未来地図はitunesで視聴することができるので、是非とも聴いて欲しい一曲であります。歌はむしろうまくなっており、ずっと歌い続けているのだから至極当然の話、何度でも書きますが、もはや日本ポップスの権化とも言えるでしょう。
 もちろん沢田研二だけが特別と言うことはないはずで、いい年になっても歌い続けているという音楽の虜は大勢おりますが、そしてなお光を放つかっこいいオッサンオバサンたちも大勢いますが、その中でもこの沢田研二、いまだアイドルという点が非常に光っている。この歳までアイドルであるのもさりながら、それを本人が楽しんでいる、というのがトークから伝わってきて、この若造までも楽しい気分になってくる。褒めすぎの感がありますが、沢田研二については褒め言葉しか出てこないのでしかたがありません。

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戦闘破壊学園ダンゲロスキャラクターズ2

相変わらずネタバレ全開です。

夢見崎アルパ
「神性垣間見えるまでのビッチ」鏡子と対をなす、生徒会きっての下ネタ番長。この小説、番長側よりも生徒会側のほうに問題児(と呼べるほどかわいいものでもない)が多く、いくら清濁併せ持つとかっこいいことを言っていても、両軍のメンツを比べるとどうしても番長側に肩入れしたくなって参ります、というのは俺の意見ですが、その問題児の中でもこの夢見崎アルパはかなり微笑ましい類。
 ド正義が鏡子討伐のために用意したメンバーの一人ですが、このときのド正義の言からは完全に肉の盾という悲惨な扱いで、しかし彼こそが鏡子打倒の要というような口ぶり。彼が攻撃を受ける事こそが作戦の成就と言いたいようで、ド正義や言葉姉さんにならび立つ最強候補で、またハルマゲドンの緒戦で(とてもショボイといえど)二人の魔人を余裕で葬ってしまった『転校生』すらも屠り、戦線に出てこないことで「相当楽になり申した」と生徒会参謀赤蝮に言わせ、なおかつカバーの表で五行もつかってキャラ紹介(イラスト付き)までされている鏡子に対して、5分以上も絶えることができるという。なんか知らんが夢見崎アルパ、とても凄そうだ。それほどの戦力であれば「性格が使い物にならない」という欠点などあってなきがごとし。使い物にならなさにもよるが、ちゃんと命令すれば行くのだろうから問題なしだ。
 このときのエースの評価「アルパの如き変態」というのが気にかかりますが、ついに名乗りを上げてしまった不良(番長、セックスしてください!(妥協して「オナニー見せてください」))や『架神恭介』の処刑時になんか弄りまくっていた男女生徒、とどめとばかりに鏡介でもうそっち系の耐性はできつつあり、多少の変態では動じない姿勢になりつつある。鏡介以上の変態はいないだろうし。むしろどんな変態が鏡子と戦うのか、というようなある種の期待感までもが沸々と湧いてくるわけでして、今までなんやかんや言ってて主要メンバーたちは常識人が多かった中での「変態」の登場に心躍りすらするわけですね。
 このとき、鏡子の能力はあきらかになっておらず、カバーにて異様な存在感をはなつビッチ・オブ・ビッチであること、にもかかわらず、どうにも容姿はおとなしめであること、また魔人でも一、二を争う強さを持つこと、そして「殺さないつもり」である点が明かされており、ぶっちゃけ「よくわからないがなんか最強クラスに凄い」ような凄くないような。とにかく戦う時は多分エロゐことするに決まってるはずなので、このアルパはそれに耐性を持つ、つまり絶倫なのではないか、という予想がぼんやりと、しかし確かな期待をもって浮かんでくるわけですな。実のところ、直前の『鏡介』の章である程度ヒントは出ているのですが、まさか曾祖母が鏡子であるという発想には繋がらず「こんな魔人がいるならビッチなりの能力があるんですね」みたいな、そういうイメージがついているワケでして、この辺は妙に巧いプロット構成になっていると改めて感心します。まねしたいなぁ。
 さて、その後鏡子のビッチっぷりが赤裸々に披露され、『架神恭介』を処刑しド正義に中性を誓う自称ウンコの一ノ瀬君が、面白い悲鳴と共にあまりにもあっさり沈められ(しかも片手間)、また存在感があるようなないようなツミレもまた笑える悲鳴と共に崩れ、エースが真面目に作戦遂行を目指す様がとても笑えるダンゲロス屈指の戦闘シーンが繰り広げられる中、アルパはド正義のもくろみ通り、真価を発揮するわけですが、まさかこのとき、彼の変態性もまた真価を発揮するとはだれが思っていたでしょうか。
 アルパのセリフは全体を通してもほぼシモでしめられていますが、この時の「もっと、もっと」はドン引きを促すのにこれほど適当なものはござらん。三分で生ける屍になるほどの責めと言えば、男性諸兄ならどれほど恐ろしいものであるかは容易に予想されるものでして(俺は男なので女性がどうなのかはわかりませんが)、現に瞬く間に一ノ瀬が射精の噴水状態になっているのでその実力は非常にわかりやすく提示されているのですが、その責めを「もっと」とはなんという絶倫――ではない! こいつ、気絶している!
 鏡子の責めはしっかり効いており、アルパ自身は気絶しているにもかかわらず「もっと」です。このとき俺は思わず本を放り投げ、しばらくベッドの上で笑い転げておりました。なにがツボに入ったのか、後から考えるとちっともわかりません。
 なるほど! 確かにアルパの能力、「誰も殺さない」と決心している鏡子に対しては非常に強力である! このアルパの能力、対鏡子用にあえて設定された能力なのかと思いきや、物語の終盤でもある程度大事な箇所で出てくるため、また新鮮な驚きを与えてくれたりする。
 アルパは中盤と後半にそれぞれ一度ずつ登場しますが、どちらも局部を露出させているというあまりにもあんまりな格好。しかも中盤の方は切り取られた鏡子の手を道具にしてマスターベーションですから、このあたりは「生徒会の面々も、気味が悪くてとても見ていられない」に誰もが同意であります。さりげに脅威の頑丈さが明らかにされており、なるほど、一ノ瀬とツミレとの対比としてアルパの実力のほどがわかる。なおこのとき、ツミレに対してちょっとした萌え的な感情を覚えた人がいたであろうことを指摘しておきます。
 
 さて、アルパは、この小説では数少ない「本懐を遂げた」キャラの一人です。実際の所当初の目的が果たせたのは両性院男女とこのアルパのみと言っても過言ではなく、それもそのはず、他のキャラクターがあくまで「自陣営の勝利」を目標にしていたのが、この二人だけ超個人的な使命感(欲求)に従って行動していたのだから当たり前です。アルパは一応生徒会側ですが、彼の行動やらなんやらから「生徒会の勝利のために」というような心情はかけらも出てきません。。転校生とぶつかる前の待機時間に「鏡子の手で自慰するのに飽きた」という、開いた口がふさがらないような理由で消え、その後の消息がしばらく途絶えることからもわかります。読者がそろそろ存在をほとんど忘れてしまったころにまた下半身丸出しででてきて、銃の乱射を受けながらセクハラを行っている有様で、最後に自分を襲っている女性に爆殺された際のアルパの幸福感は誰にもわからないでしょう。とにかく、初登場時の期待感、予想を変な方向に裏切った対鏡子、異常性をいかんなく発揮した中盤、そして退場と、ダンゲロスを通して常に変態であり続け、なおかつ主人公でもないくせに自身の目的を達してしまった夢見崎アルパ。読み終わった後も、どうにも印象に残ってたまりません。しかしソナーの能力が一人にしか反応しなかった理由がこれっているのが、なんど思い返しても面白すぎる。


鏡介
 p142から怒濤の5ページを繰り広げるナチュラルな変態。この変態がアルパと違うところは、やってることはアルパ以上の変態行為のクセに妙な爽やかさを伴っている点に他なりません。俺は本を読むときに脳内でビジュアル化する癖がありますが、けっこう本気で気分が悪くなった。『鏡介』の章の異常っぷりは読んだ方ならおわかりだと思いますが、しかしこの少年、なかなか登場しない。いや、これも読んだ方なら、あの鏡子と死闘を繰り広げた魔人である、ということがおわかりだと思いますが、果たして初見の時に看破された方はいるんでしょうか。よくよく読み返してみればなんだか「気づかないのは異常」レベルで描写されているのですが、不思議と俺は気づきませんでした。ぶっちゃけもう一つの世界で名前が出てきたときが初めてでしたね。なぜだかは俺にもわかりませんな。曾祖母の能力も振り返ってみれば鏡子まんまなのですが。
 この鏡介の曾祖母が鏡子だと気づいたのもその時で、そもそも学園祭の章までは「そういう別の(時間軸すらも異なる)世界がある」という事すらも望外のことで、だったら転校生はなんなんだと言われたら我ながら浅慮を恥じる次第ですが、とにかく鏡介少年は一度も「ハルマゲドン」中に登場してこないのであって、どうにも本編中は影が薄い。そもそも鏡子と戦ったのも一年前だし。負けてるし。
 ほとんど出落ちの域ですが、その実力は鏡子と逼迫し、転校生として参戦していれば魔人全滅は避けられない事態であったでしょう。鏡子との戦いは圧倒的なまでの迫力を持ち、どうしてわざわざ股間を弄りあってるのかというツッコミすら忘れてしまうほどであります。その場に俺たちがいたら死んでいるかド正義の用に見入ってしまう他になく、誰にもツッコませないほどの真剣勝負でした。
 この鏡介、ド正義たちの回想でたびたび出てきており、転校生であっても不死身ではないというお手本になっています。そういうわけで回想だけながら登場回数は多いのですが、彼らが知らないからでしょう、名前は一切でてきません。ダンゲロスは伏線の数が史上希に見るほどある作品ですが、とりわけ両性院の秘密とこの鏡介に関しては、かなり綿密に設計されていると思われます。いや、どうなんだろう。鏡介に関しては気づいている人も多いかも知れない。なにせどの感想やレビューを読んでも触れられていないのでよくわかりませんが、少なくとも俺は気づきませんでした。大事なことなので二度。他世界の学園祭においてようやく名前がわかるので、多分ここがネタバレ点なのだと思います。多分ね。
 鏡介は、もう一つの世界ではまさに出落ちだったようで、揚々と出てきたあげくに邪賢王とド正義率いる魔人連合にボコボコにされたあげく鏡子にレイプされ、しかも元の世界にも戻れずに橋の下で暮らすというよくわからない平和な改変をされているのですが、調べたところどうやらこちらの方が元ネタに近いようです。なるほど、元は転校生の癖に弱いというキャラなのね。
 ド正義や鏡子の回想のおかげでむやみに登場回数が多く、学園祭でイイ感じにオチているので結構な名物キャラでありましょう。なんというか、やっぱり初登場シーンが衝撃的すぎました。冷静な判断が出来ない。

キャラクターに言及せねば気がすまぬ ~戦闘破壊学園ダンゲロス~



 ダンゲロスと言えばキャラクターです。これはもう間違いない。
 少年誌的なネタ設定も、鬼畜のごときストーリー展開も、ドン引き間違いなしの下ネタ乱舞も、どれもこれも個性ブッチギリでどこかネジが外れていて、変態的な魅力を持ち合わせたキャラクターと化学反応したからこそ、この異常な完成度を誇る怪作が生まれたのだと、俺はそう断言したいのであります。
 というわけで今回はキャラクター一人一人に焦点を当てるわけですが、小説の性質上、どうしても致命的なネタバレが付随しますので、未読の方は我慢するか気にしないか、もしくは先に本書を読むのがよいと思われます。




 さて、作中でちょっとビックリするくらいにゴリゴリ絶命していくキャラクターたち。いろいろ調べたところ、著作者である架神恭介氏は本作を書くにあたり「能力者同士の戦いは死ぬときゃ死ぬよ」という考えからスタートしたとのことです。この辺は「ダンゲロス」でググルだけでいろんな先達レビューがありますので、わざわざ繰り返してもしょうがありますまい。書きたいことを書く。

白金 翔一郎(&範馬慎太郎もセット)
 純真なワタクシの心にゴッソリと疵痕を残した前代未聞のカマセ。いや、この小説に「カマセ」という概念は存在しないので正しくありませんが、ではなんと表現すればいいのかと言うとそれが思いつかない。それほどまでにインパクト大の散りざまを見せてくれた番長グループ現No.2。ある意味で本作の一面を象徴するお方。
 バッサバッサと「有能」「人望」「因縁」という大物オーラを序盤から中盤にかけて大盤振る舞いの彼は、恐ろしい番長グループに放り込まれた主人公、両性院男女に対し、おかれた状況を説明するために現れます。過去にも番長グループの理性ある幹部として非常に「まともな」キャラクター描写をなされており、『架神恭介』が我らが言葉姉さんを爆殺してしまった際もブチギレを見事に押し殺し、圧倒的存在感を見せつけた上で退場しております。このときの『架神恭介』の非道ぶりは後述するとして、自身の前日譚にて言葉姉さんとの縁が描かれ、後輩一刀両断との思わせぶりな宿命に言及され、いよいよ生徒会と激突、全ての首謀者(と思っている)たるド正義と因縁の火ぶたが切って落とされ――死亡!
 なんということでしょう、生徒会と番長グループ、物語も折り返し地点に迫ろうとしたあたり、あと二百ページほどは間違いなく続くと思われるその先頭の緒戦も緒戦、渡り廊下にて、両軍最初の脱落者!(校門の二人覗く)(鏡子さんが死ぬはずがない)(言葉姉さんは聖母)
 いくつかレビューを読んでみましたが、やはり彼の死に様にショックを受けた方は多いようで。俺もキャラクターについて書くとなると、思わず彼を一番に持ってきてしまうほどの見事な死にっぷりでした。
 実のところ、彼が死ぬシーンは三回ほど読み返しました。信じられなかったというのが正直な感想です。実際に主要人物級の鏡子が直前に首チョンパされ(しかも脳みそ食べられ)ているにもかかわらず、まさかこんな所で退場してしまうなど理解の範疇を超えていた。
 しかし死んでいる。あっさりと敵将一人をハメて倒したところまでは普通でありました。ポッと出の変態ハンマー野郎は小物の雰囲気著しく、なぜ生徒会メンバーがあれほど評価しているのかがわからなかったくらいでしたから、白金が無傷で勝利するのも当然という所です。いわゆるキャラ補正というところですな。
 第一の関門、危なげなく突破。まあこちらは主要なネームドが白金だけであり、彼がいなくなっては全滅必至なわけでありまして、またココまでの描写の差により読者は番長グループに感情移入しているわけでして、ここで白金があげるときの声に俄然テンションが上がり、
 そして死ぬ。
 しかも殺したはずの変態ハンマー野郎に殺されるのは、そりゃあ衝撃というか「ちょっと待てよオイそれって反則だろお前が勝っていい道理がどこにあるんだよ!」と悲鳴を上げたくなるのも至極当然といえましょう。実際、この一撃でいきなり番長グループの勝利に影が差し、後はなんということでしょう! 事前の印象とは裏腹に変態ハンマー無双の幕開けで、よりによってこいつに壊滅させられるのかよ……とテンションだだ下がり必至。アズライールの蘇生能力「一回分」は、もう一方で邪賢王ちゃんと激突し敗北は免れない、また白金との戦闘は至極当然と考えられる一刀両に使用されると信じて疑わなかった俺にとって「ちょちょちょそれ使っちゃったら一刀両ちゃんはどうなっちゃうの!?」と逆に心配になる展開。よりにもよってなんでこいつなのか。
 と、この二人の一連の攻防はダンゲロスを読むにあたり、一大転換点となっております。おそらく著者の思うつぼでして、重要キャラクターが思わぬ所で死ぬ、というのは作風として決して珍しいものではないのですが(エグゼクティブデシジョンとか)、その演出に際してここまで積み重ねたものはそうそうないと思われます。余りにもショッキングな死に様の白金翔一郎。この作品の中でもかなりオイシイ役どころ。
 また範馬の死に様はそれはそれで爽快なものでしたが、邪賢王ちゃんの拳までも爆砕するこの男のハンマー、俺が考えているよりも遙かに強力無比なものでありました。たしかに評価されているだけはありますが、なぜよりにもよってこいつが……という理不尽感はいつまでも消えぬ。


黒鈴
 《転校生》の一人ですが、能力(の発動条件)が極の一端をぶっちぎっておりまして(もう一端は鏡子か恭介)、発動する際に対象の脳みそを余すところなく食さねばならないという、不憫を通り越して「さすがの俺でもそれはヒくわ」と言いたくなる境遇の子。食べるのが常に嫌々なのも、仲間を助けるためには意地を見せてかきこむという健気さも、これが脳みそでなければ、とどうしても付け足さずにはいられません。数少ないイラストがカニバルシーンに使われているのも謎。
 彼女が作中で初めて脳みそを食べるシーンの直前で鏡子が死んでおり、なおかつ食べるのが彼女の脳、というのもショッキング度抜群で、それまである種ほんわかした戦闘シーンを繰り広げた、博愛精神抜群の「神々しいまでのビッチ」鏡子に誰もが劣情というより敬意と信仰を覚えていたはずがこの様ですから、もう混乱してわけがわからなくなっている状態であります。このあたりから始まる100ページの常軌を逸したメチャクチャぶりの第一陣としては強烈すぎる食脳。しかも三人の転校生の中で唯一の女の子がやるとあっては背徳感にも似た居心地の悪さを隠せません。どうするんだこれ。地味に割り込んでくる精液描写がまたね。
 最後の方まで生き残る黒鈴ですが、死に様には恵まれている。作中最後の死亡者であり、冒頭から「ハルマゲドン」を通してずっと切り札として捉えられていた友釣香魚の能力「災玉」をやっとこさ発動したのが彼女。しかもこれが最後のどんでん返しの引き金となっており、能力をコピーする、という自身のアイデンティティを最大限に出し尽くしたあげく、主人公が手をかける数少ないキャラであり、また仲間の死に思わず我を忘れたり、主人公と一緒にいる時間も長い、と、物語の大部分を寝て過ごす天音沙希よりもよほどヒロインぽい。
 リーダー格であるユキミは意外と窮地に陥りますが、そのたびに刃物を突き刺す天然Sっぷりも見逃すことの出来ない要素です。とにかく切断。「いや、最善だ……」といちいちフォローを入れるユキミがまた笑えます(結果的に最善なのですが)。冒頭で転校生は、魔人を殲滅する報酬として天音沙希を所望しますが、一体なんのためなのかは結局最後まで語られなかったような……はて。たしかばらばらにして異世界へ持ち帰るはずですが、そのあとが記憶にありません。もう一度読み返してみましょう。最初に意味深な、先生と受付のやり取りを聞いた際は「こいつらも色欲か」と思ったクチでして、そのため黒鈴も「黒鈴ちゃんペロペロ、こ、これはレズの味」と先入観バリバリでしたが、性癖についてはいたって普通のようです、多分。ボウフラさん的には珍しく女性キャラのお気に入りが多い今作ですが、なかでも黒鈴は一、二を争うモアベターです。

 本当はもっと書くつもりでしたが、いつの間にか二時間も立っていたので他キャラはまた気が向いたら。にしたって2キャラ(実質3キャラ)は少ないよねぇ。

買うかどうかはカバーをくまなく見てから ~戦闘破壊学園ダンゲロス~


<以下の記述にグロネタや下ネタを含みますDANGER!>
 本書を読み終えてから考えたのは「なにをどう書けばこの筆舌に尽くしがたいほどの『筆舌に尽くしがたい感』を伝えることができるのだろうか、いやできない(反語)」という事でした。面白い。異様に面白い。面白いというか酷い。異様に酷い。面白酷いというべきか。酷いというのは巧拙とかクオリティとかの話ではなくて、テーマというか話の進み方というか、むしろ話のそこかしこにちりばめられている下ネタというか、とにかくそういうものであります。自分でも書いていてワケがわかりませんがそういう酷さです。

 戦闘破壊学園ダンゲロス。タイトルからしてもうアレですが、俺はウォーゲームとしての本作を知らずに読んだので始まった時から意表をつかれました。

この小説はTRPG「戦闘破壊学園ダンゲロス」のノベライズ作品です。(p12)

 その後に続くキャラクター作成。ここで作成したキャラクター一人が作中に登場するとの事ですが「ほうほうコレはTRPGという設定なのだなぁ」と至極真面目に考えていたので、その後本当にゲーム版が存在していたと知って二度ビックリです。戦闘破壊学園ダンゲロスwiki - トップページ
 メタネタ自体は特段珍しくもないので置いておくとして、この小説は原作のゲームを知らなくても面白さには一切影響ありません。知らないままよんだ俺が言うのですから間違いない。だから読むんだ、みんな。もちろん冒頭で書いたように本作の魅力を俺の文章で伝えられるかといえばはなはだ疑わしいものではあるのですが、一つ頑張ってみます。一人でも多くの読者が、この被暴力感を共有してくれると信じて。

 買う前からの話になるのですが、俺はこの本がとても気になっていました。本屋に平積みされていた発売日近辺からですので、かなり長い間ですね。本屋で見かけるたびに手に取っていたのですが、そのころの俺は金欠でして、一冊の本に1700円出すのは非常に勇気のいることでして、そのまま棚に戻したり平積みに戻したりしていました。
 いくつか前の記事で、俺は「タイトル買いをよくし、あらすじを読むと買う気が失せる」タイプだと書きましたが、それが機能していたのもあります。あらすじほど内容がわかると本文を読んだ気になってしまうんですね、きっと。というわけで「タイトルで惹かれてあらすじを読んで棚に戻す」という行為を繰り返す、のはまぁ、ダンゲロスにも当てはまりました。
 タイトルの「戦闘破壊学園ダンゲロス」の吸引力は半端ないです。ないと思います。あまりにストレート過ぎる。もうどういった話になるのか一瞬で想像がつく。表紙のイラストと相まってもうこれはこういう作品で間違いなさそうだな、というのがある程度予想できる。ここまでわかりやすいタイトルも結構ないんじゃないですかね。というわけでまぁ、いま当記事を読まれているかたの脳裏に浮かんでいるのでだいたい外れてはいないと思います。まぁ、あってるともいいがたいというのが本作の凄いところというか逸脱しているところというか。
 タイトルで惹かれた人は裏のあらすじも読むと思うんですが、そこも結構酷い。なにって、そこかしこに目を疑いたくなるネーミングが並んでいる。

  • 邪賢王(じゃけんのう) ヒロシマ
  • ド正義 卓也
  • 両性院 男女(おとめ)

 酷い。最近の作家でネーミングセンスに定評があると言えば西尾維新ですが、それとはちょっと違うベクトルで個性的すぎる。ギャグマンガの域。しかもその隣に書かれている「作品のテーマっぽいセリフ」がけっこう真面目なのがまたおかしい。そして一番わからないのが下部にあるアオリ文句です。

この小説、読むもよし! 使うもよし!

 使うもよしってなんだ。これは読み終わった今もよくわからない。なにに使うんだ。作中ではキワドイというかぶっちぎったエロ描写があるけどそういうことなのですか?(本番がないという意味でキワドイ(と思ったらあった))(もしかしたら二次創作にかんすることですかね)

 まあ裏だけでは、それほど、こうね、タイトルから予想できるベクトルと外れているわけではないのでして、本当の所はカバー表にあるというわけで、もっと早く気がついていたらその時点で買っていたんだろうなぁ、としみじみ思う。
 さて表に目を戻すと、相変わらずタイトルが非常に目立つ。字面がもう目立つ。そして帯部分に書かれているこれまた目立つ文章。

以下のものは全て極刑に処す。

  • 非童貞・非処女
  • 廊下を走った者
  • 掃除をサボった者
  • 服装が乱れた者
  • 遅刻者
  • レイプ犯罪(加害者、被害者とも

 なぜ被害者までも。ここまでの情報量でも、それでも、ええ、ワタクシは本棚に戻しておりました。以上の情報は大変魅力的ですが、俺の購買欲をあおるにはあと一つ足りなかった。このままでは思い出したときに古本屋で買ってしまってもおかしくはなかったでしょう。
 そんな俺は今日も本屋でコレを見つけたわけですが、カバーにある一文に初めて気がつきました。
 それはタイトルやアオリ文、あらすじなんかに比べて小さく薄く、とても地味に、隅の方に、しかし五行も書かれていました。

 そう、この魔人鏡子。一見するとあどけない容貌だが、
 その実、超絶的な性技を備えた、人を超えた淫乱ビッチ。
 荒淫において右に出るものなしと言われたビッチの中のビッチ、
 ビッチ・オブ・ビッチである。
 おそらく宇宙一セックスが巧い。

 意味がまったくわかりません。いや、鏡子がビッチだというのはわかる。だがここまで暴力に彩られたカバーの中で、なぜよりによってこんな文章があるのか。カバーに記載されている他の情報で、本作が「(童貞・処女による)超分厚い学園能力バトルもの」である、という予想が立っているのに、なぜよりにもよってこんな一文が記載されているのか。他の要素に比べてあまりに浮いているこの五行を読んで、俺はしばらく本気で悩みました。この分厚さ、読むなら今日を覗いてしばらく時間がない――。
 というわけで、山風短2と共にレジへ。
 結果的にこの一文は秀逸だといえます。圧倒的暴力に満ちたタイトル、あらすじ、アオリ文。その中にひっそりと隠されたこの文の攻撃力は、俺には非常に効きました。「え? 学園能力バトルで、間違って、ないよね? 少年誌を漫画にしたような、え?」
 というわけで一度、本屋で本作のカバーを見かけたら、マジマジと細かいところまで見るのがいいと思います。

 実際の所、これは講談社BOXの作品であって少年漫画ではないわけで、非常にエグいのです。とにかくエグい。この「エグい」という表現は便利でして、なにに対してエグいのかと言えば「全てにおいてエグい」
 表紙をめくると遊び紙とタイトル、校則そして、

 世界で一番美しいもの――


 と意味深なエピグラフがあり、登場人物紹介。
 あらすじにもいる三名ですが、その中の一人「両性院男女」がトップに紹介されていて、いかにも主人公な立ち位置なんですが。
 ……?
 (表紙を見る)
 いねええええーーーーっ!
 両性院君、何故か表紙ハブ。
 その後、

  • 怨み崎 Death子
  • 一刀両断

 という例外を除けば、まぁまぁ普通の名前が並ぶのを見てちょっと安心というか、こんな普通の名前とキチガイネームがホントに同居できるの?とワクワクしてきたり。ていうか名前に英単語がアルファベットで入ってるの初めて見た。
 その後、先に示した「ゲームとしてのダンゲロス」のキャラクター作成(架神恭介というキャラで、著作者と同姓同名)が終わり、話がスタート。本文は各登場人物にスポットをあてた前日譚と、メインである「ハルマゲドン」というイベントを交互に読み進めていく形式なのですが、まず最初は「友釣香魚(ともづり あゆ)」の話が紹介されます。キャラ紹介でメインっぽい扱いを受けており、ほかの連中に比べれば大人しいですが十分遊んでいる名前の彼女、トップバッターを務めることもあり心に残りやすい彼女ですが、最初のパラグラフに妙な一文が含まれている。

魔神阿摩羅識ぎりかの能力『サンカーシャ』により、世界がジュラ紀世界と一時的な世界接合を果たした際の名残であるが、世界をパニックに陥れた恐竜騒動も今は昔。(p21)

 読みたい。
 のっけから飛ばしています。彼女の下校を描写している文章に潜むこの魔! ギャグなのか真面目なのかかなり悩みますが、そうこうしているうちにいきなり不穏な空気が漂い始めます。まぐわう男女五人……女は一人……?
 レ、レイプだあああああぁぁぁぁっ!
 少年漫画? なにそれ? 勘違いしたあんたが悪いんでしょ!
 と言われたようなそんなような。
 しかもそのレイプ描写、結構スペースを取ります。5ページくらい続く。

 そう、この小説はエグいのです。暴力的な意味でも、性的な意味でも、展開的な意味でも。

 というわけで、登場人物紹介までで植え付けられたイメージは一気に吹き飛ばされ、かわりに頭をもたげてくるのが「エログロバイオレンス」と言う単語。「学園能力バトル」であり「エログロバイオレンス」というか「学園エロ能力グロバトルバイオレンス」みたいな感じ。この小説を読むときには覚悟がいる! なにがおきても動じぬ心の強さがいる!
 「なにがおきても」というのは決して誇大表現ではなく、登場キャラは名前がついているキャラだけでも40名ほどいると思われますが、大抵のキャラが酷い目にあいます。その酷い目というのがまた、悪趣味の万国博覧会といってもよい感じで、冒頭のレイプはもうなんか

 番長グループに牛耳られた学園は全国に数多あり、そこでは恐喝、強姦、殺人などが日常茶飯事となっている。(p23)


 という、ある意味作中では「いつものこと」であったりします。ハードだ。
 他にも食人を筆頭に描写するのも無惨な扱いを受けたり、かと思いきや性転換でロリ美少女が生まれたりとネタには事欠きません。なんというか「著者がやりたいこと全部詰め込みました」感が溢れ、よくもまあ500ページに収まったと感心せざるをえません。キャラクターも可憐な美少女からウンコクズまで幅広く用意されています。しかも使い捨て。
 このバッサリ感、なにかに似てると思ったんですが、山田風太郎の作風によく似ております。以前「ネガティヴなアドヴァイス」という、新人賞に応募するワナビに対して「やらないほうがいい」ネタを列挙している、ある種のネタサイトがあったのですが、そこに「忍法帳は山田風太郎で完結してゐる」という文言がありまして、それをまさか覆すとは思いもしませんでした。実際ダンゲロスは山田風太郎の忍法帳シリーズと被っている部分が多々あり、要素それぞれを抜き出すと(チーム戦、性に関係した能力、能力に理屈っぽいことをつける、キャラクターの使い捨て感、あっさり死ぬ)よく似ているのですが、面白いのだからどうでもいい。むしろ現代学園版忍法帳が見られるのであるから、少なくとも俺は嬉しい。
 
 さて、レイプ後は「ハルマゲドン」が始まるまでの、主人公・両性院男女君のちょっとした青春が描写され、ハルマゲドン開始、まずは明らかに使い捨てと思われる、しかし因縁のある戦いが繰り広げられ、しかも先ほどのレイプと関係がある。そこから急に本文は勢いを増すわけですが、この作品を語る上で必ず言及しなければいけない章が一つある。
 そう、『鏡介』の章です。架神恭介とは別の、またキャラ紹介にいる「鏡子」とも別の、鏡介。
 彼の登場は142ページ。だいたい四分の一くらい進んだあたりですが、この章を読み始めた俺は、なんどか冒頭を読み返してしまいました。

 微やかな月明かりの下、棺の中のおばあちゃんは善男善女の淫水に包まれ、幸せそうな笑顔で横たわっていた。(p142)


 ……?

 彼女の位牌にはこうあった。
 『騎乗院変態性欲大姉』(同)


 ……??

 そして下半身丸出しの鏡介も棺に己の雫を何度も加えていたが、(同)


 ……???

 (∵)

 

 初めて読んだときの俺の心情が伝わっていればいいのですが。
 この『鏡介』の章、とても唐突に始まり、しかも5ページくらいずっとこの調子です。シモいというか、ここだけテンションがなにかおかしい。一パラグラフにつき4つくらいはソレ系のネタが出てくる。意味がわからない。まったくわからない。なんか能力的な話なのはわかるが、この鏡介少年、いつまでたっても物語に登場してこないんですね。彼は何をしているのか、『転校生(作中でやたら強いチートキャラ)』になったような描写が章の最後にあるが、いつになったら出てくるのか。
 このようなインパクトが強烈過ぎる章が、まだ「ハルマゲドン」が始まっていくらもしない内に出てくるのですから、本当に意味がわからない。このまま先を読んでもよいものなのか、といらぬ葛藤ばかりが頭を巡ります。最初から読み直すべきなのではないか。
 
 その後、中盤あたりで「え? これこのまま続いちゃってイイの!? てか終わってね? てか、終わってるよね、うん。いや確かに続いてはいるけど、話的には終わってるけどあと200ページあんの?」みたいな展開を見事に裏切ってくれたり、序盤で蒔いた伏線を大小見事に回収したりと、後半の圧倒的スピード感はまさに暴力的。いや、マジで鏡介が出てきたときは笑いました。しかも思い返せば――!!みたいな事がよくあります。これは多分、再読したらいろいろ伏線があったことにまた気づかされるのではないか。超長い話だけど、それでもよくまとまっている。50を超えるキャラクターが見事に散っていく様をこれ以上列挙してもネタバレにしかなりません。できるだけネタバレを押さえ、この小説の特徴を書いたつもりですが、これではとてもとても。本当にこれは読んで欲しい作品です。最後の最後で、エピグラフの謎も解ける。

追記:
 イラストが美麗な本作でもありますが、本文中の挿絵4枚の内2枚がグロで1枚がエログロで1枚がエロです。作中にちんことか精液とか手淫とかおっぱいとかいう単語が頻発するのであまり外で読むのはオススメできません。鏡介の章もありますし。 

Rainbow Girlを男が歌うのがイイ

D
Rainbow Girl
作詞/41スレ673 
作曲/43スレ437(動画内ボーカル)
歌詞など:RAINBOW GIRLとは (レインボウガールとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

 2007年に誕生したこの曲、発祥は2chの「作曲できる奴ちょっとこい」というスレッドです。
 もう4年になるんですね、最近は時間が経つのが早いなぁ、と思うような最近です。気がつけば前の更新から一週間も経っておる。
 ネット上では(特にニコニコでは)結構有名な本曲ですが、なにゆえ今更この曲について記事を書くのか俺にもわかりません。肝心なのは心からわき上がる情熱でありまして決してネタに困っているとかではありませんので。もにょもにょ。

 Rainbow Girlは二次元少女についての曲です。二次元→二次→虹から来ています、多分。この曲のおもしろいところは女性視点で歌詞が書かれているところで、つまり二次元少女視点なんですね。これはなかなか珍しいことではないかと思いまして、アニソンにはキャラクター視点の曲はたくさんありますが、二次元である、と言う前提のものはそう多くありません。「視点の少女が二次元であることを自覚している」というのは、この曲の設定を考えれば当たり前ですが。
 少女が一人の男と出会ってから別れるまでの心情がいろいろつづられるワケですが、大事なのは「二次元である」という点です。この曲の少女は、あらかじめ性格などのキャラクター付けがまったくされていない状態です。「なにかの作品(内容からゲーム)」の「キャラクター」なわけで、それを購入した男と会う、という始まり方。
 女性視点で、だが二次元。これは他のキャラソンが「少女が実在する一人の人格」である曲と大きく異なる点です。
 もちろん、この曲をその定義に当てはめることは可能です。本来はデータもしくはイラストである「二次元少女というキャラクター」としてみると、それはそれで良質な悲恋の曲になります。まぁ、つまり、こういうわけかたは自分でもどうかと思いますが「女性が歌った場合」ですね。

 男性が歌うと、この曲は楽しい変化を起こします。この曲のもう一人の登場人物として少女と出会う男がいますが、彼に対して感情移入ができうる、という解釈です。ぶっちゃけてしまえば、これは「妄想の歌」なんですね。ゲームを購入した男が、その少女の心理を勝手に作って、恋愛をして、別れて、というとてもイタい曲に早変わりです。そして俺は、どっちかというとこっちの方がいい。なぜかといえば、それがまさにオタクが持ち得た性質であると思うからです。
 二次創作的な「キャラクターの改変」は珍しいものではありませんが、この曲はそれを歌にしてしまってるんですね。なにかの作品のキャラクターである少女を、自分の都合のいい用に改変してしまい、あまつさえそれを歌にしてしまった憐れなオタク青年のとても悲しい歌。とても自嘲的で笑える。自意識を持たない二次元少女があたかも自分に恋しているかのような、しかも自分が飽きてしまってもずっと恋い焦がれ、あまつさえ感謝までしているのを想像している、ということを想像しながらこの曲を聴くともはやどんな曲とも違うオンリーワンなものができあがります。ライオンがたんぽぽの心情を創作していると噂の「ダンデライオン」にも通ずる所がありますが、こちらは二次元少女ですからレベルが違う(笑)ある種のナルシシズムが迸るまさにオタクらしい歌のできあがりです。

 二次元少女に恋するのが男性だけとは限らない、というのはとりあえず置いておくとして、一般的には男性であるといえましょう。そういうわけで男性がボーカル、しかもあまりオシャレっぽくないほうがイイ。いかにも的な匂いがあればなおよい。というわけで、俺は男性が歌っている方が好きだったりしますが、ニコニコで発表されているいわゆる「歌ってみた」には男女ともに、またアレンジも多種の、良曲が多く上がっているのでお試しアレ。
 男性がボーカルの時と女性がボーカルの時でまったく印象が異なるこの曲、非常に大好きです。

プロフィール

星野ボウフラ/初緑

Author:星野ボウフラ/初緑
いろんなモノを目指しすぎて何をすればいいのかわかりません。とりあえず今やらなきゃいけないことを全部ほっぽり出して寝ます。

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